東寺
京都での結婚式出席の翌日、京都駅にほど近い東寺を訪れました。幼い頃から何度も京都に来ているにもかかわらず、東寺は初めての訪問でした。
五重塔で有名な東寺は別名を教王護国寺ともいい、延暦十三年(西暦794年)平安遷都の際、羅城門の東につくられました。後に空海に下賜されて、真言密教の根本道場として今日に至っています。多くの国宝や重要文化財があり、平成6年(1994年)には世界遺産に登録されています。
この日の京都は気温35度を超える猛暑日。折りたたみ傘を日傘代わりにして京都駅から歩くこと約20分、東寺東門に到着しました。五重塔、金堂、講堂、食堂と観て回りましたが、一番の目当ては講堂の立体曼荼羅でした。弘法大師空海が、密教の教えを表現した曼荼羅を、よりリアルに伝えるために講堂内に具現化したと言われています。
講堂内に足を踏み入れると、薄暗い空間に大日如来を中心とした21体の仏像が現れました。大日如来を中心に向かって左側が明王部、右側が菩薩部となっています。その迫力に暑さを忘れて、座してしばし見とれていました。そして心が沈着していくのを感じました。若い頃には宗教や仏像などにはほとんど関心がありませんでしたが、最近は心が惹かれます。それだけ自分の心が揺れているのでしょう。心の静寂を頂き、またの日の再訪を誓い、灼熱の東寺を後にしました。